根本裕美さん追悼文集Ⅲ2021年6月

★裕美さんへ

裕美さん、今、そちらの世界で、どんなことをしていますか。

きっと、忙しい毎日で
元気に飛び回っているのではないでしょうか。

本当にお世話になったのに、何のお返しもできないまま、、、。

はじめて裕美さんとゆっくりお話したのは、
ライアー東京が開催されるようになって
間もない頃だったと思います。momoさんもご一緒に、
会場の廊下のベンチで夕食を食べた時、
和気あいあいとした会話の中で、裕美さんと私が同い歳だということが判明し、とても親しみを覚えました。

それから、講座のたびにいろいろお世話になりましたね。

いつも明るく、ユーモア溢れる裕美さんは
ライアー響会のムードメーカーでした。

改めて感謝したいことが、ふたつがあります。

まず、ひとつ目。先日14歳になった絶賛思春期
・反抗期の息子が、生まれて数か月の時のこと。
裕美さんが、芝山さん、桃原さんとご一緒に東京まで
生地の調達に来られ、
その帰りに自宅に遊びに来てくれましたね。

あの時、裕美さんが手作りの水色の服を着た可愛い
「ぽあぽあマリア」をプレゼントしてくださったでしょ。
忙しい中、わざわざ作ってくださり、感激しました。
とっても嬉しかったです。
「マリーちゃん」と名付け、息子はその手や頭を
ガジガジと噛みつつも可愛がり、喜んで遊びました。

そして二つ目は、その後、ライアーカバーの制作を
お願いした時です。
裕美さんがつくばの皆さんに素敵なライアーカバーを
作っていらっしゃるのを知った、私。「ぜひ」とお願いすると、快く引き受けてくれましたね。自分は不器用なくせに
注文の多い私を唸らせる、完璧なカバーが完成し、
びっくり! 細部までそれは丁寧に作ってくれて、
最高級ブランドの仕上げ並み。
何年経っても丈夫で使いやすく、本当に助かっています。

そして、頼んでいないのに、皮でできた
名前入りのキーホルダーまで付けてくれて、、、。
裕美さんの愛情を感じました。

マリーちゃんを抱くたび、ライアーカバーに触れるたび、
私は愛を感じています。
裕美さんの手仕事って、本当に凄い。
裕美さんのライアーの響きは、そんな手仕事と同じように、
あたたかく繊細な響きでしたね。
私も、そんな風に心を込めてライアーを奏で、
誰かに届けることができたらと思います。
裕美さんの溢れる愛と丁寧な仕事ぶりから、
私は勇気と情熱を受け取りました。「ありがとう、ありがとう、ありがとう、、、。裕美さん、どうもありがとう!!!」

「つくばライアーの響き」の皆さまへ

ご無沙汰しています。私は、以前、つくばライアーの響きの
定期演奏会で、芝山さん、momoさんと共に、
ジョン・ビリング氏のLight on the Lakeなどを演奏させていただきましたN.K.です。

皆さんは、私よりずっと裕美さんの存在を身近に感じられ、
私よりずっと長くお付き合いしてこられた筈。
濃厚な時間の中で育まれた絆を思うと、
その悲しみはいかばかりかとお察しします。

裕美さんの追討文集Ⅰを読ませていただきました。
本当に多彩な方だったのですね。
そして、つくばの『星のハーモニー』での活動を知り、
素晴らしいと思いました。
そこで育ったのんのんの娘さんが、裕美さんに憧れて
シュタイナーの子ども園の先生となられ、
働いていらっしゃるとのこと。次の世代に、
かけがえのない夢のバトンを渡されたのですね。

芝山さんが書かれていたように、
裕美さんは多方面に渡りご活躍で、
10人分くらいの働きをされたと、私も思います。

訃報を知り、裕美さんが書かれたお手紙を読んでも、
私は何が何だか理解できませんでした。

なぜなら、裕美さんの文章が「NHK朝ドラ「スカーレット」の
たけし君のような心境で、元気に過ごしています」
「本当にありがとうございます。これからも宜しくお願いします。」と現在形で書かれていたからです。

私だったら、どんな風に文章を書いただろうと思いました。
「今まで、ありがとうございました。」と過去形にして
別れを告げたのではないか。裕美さんが現在形で、
しかも「宜しくお願いします」と書かれたのは、
皆さんと別れたくなかったことの証のように
思えてなりませんでした。

良く眠れない日々を過ごしていたある日、私は、ふと、
あのマリーちゃんを思い出し玄関に飾りました。

そして、5月16日に開催される
「ライアーのオリジナル曲を弾こう!」で弾く曲を
練習する日々を過ごしていました。その講座は、
裕美さんが天に召されてから、はじめて開かれる講座でした。

前日のことです。玄関の前を通ると、マリーちゃんが
「連れてって」と私を呼び止めたのです。
バックの中に入れて連れていくだけでも良かったのですが、
せっかくなら椅子に座ってもらい妖精の子
(小さなキンダーハープ)も添え、
裕美さんにもライアーを奏でてもらえたらと、
講座担当の芝山さんに相談しました。
そして、講師のOさんにご快諾いただき、
当日マリーちゃんを飾ることになりました。

講座が始まり、皆さんが裕美さんの事を語られる中、
私はずっと気配を感じていました。
裕美さんが「ごめん、ごめん、遅くなって、、、。」と、
笑顔でドアを開けて入って来るような気さえしました。

Oさんが裕美さんに為に作られた素敵な曲を、
皆さんと共に演奏できたことは、
私自身の慰めとなりました。
また、悲しみを分かち合えたことは、救いでした。
とてもありがたかったです。音楽の癒しの力ですね。

しかし、この講座で得たものは、
それだけではありませんでした。今まで感じたことのないほど、
天の世界が身近に感じられたのです。たくさんの講座で、
「宇宙を感じよう」「天に届くように響かせよう」などの、
イメージをいただいてきました。
でも、私にとって天は果てしなく遠く、
正直つながりを実感できたことはありませんでした。

皆で裕美さんを思い奏でている時、裕美さんが
天から降りてきてくれて天の響きが会場に広がったのか、
或いは私たちが天に昇っていき
地上のライアーの音が天で響いたのか、、、。
天の世界と地上の世界の境界線がなくなり、
どこまでもあたたかく広がる大いなる響きに
包まれるような体験でした。

裕美さんは、私たちに天界が遠い世界ではないことを
体験させてくれたように思います。
それは、ライアーを弾く上で
一番大切な体験だったかもしれません。
裕美さんの人生の物語の最終章は、
ライアーを弾く皆に素晴らしい贈り物を届けてくれたのです。
周囲の人々に愛を与え続けた裕美さんらしく。
ビリング氏は、次のように言っています。

「大西洋を渡った世界も私たちの世界の一部であり、
私たちの世界もそちらの世界の一部である。
同様に天使や、天に召された人の世界も
そんなに遠い世界ではない。とりわけ音楽が鳴る時には。
だから、音楽を鳴らそう。」

今、この文章を書いている私の隣にマリーちゃんがいます。
そして「皆、元気を出して」と言っているような気がします。
涙が枯れたら、裕美さんのあの手のあたたかさを背中に感じ、
歩いていきましょう。
ライアーを響かせる時、
私たちは裕美さんと共に生きることができるのですから。 
(N.K.)

~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

根本 裕美さんへ 6月12日                              

えっ?裕美さんが・・・? 知らせが届き、
にわかに信じられず、気持ちも落ち着かない中、
何とか日帰りできる!
と日立に向かい、新幹線の窓に広がる春の穏やかな風景を
ぼんやりと眺めながら、
裕美さんのことが思えてなりませんでした。
そんな私に、旋律がどこからか降ってきたように
次々と浮かんできて、持っていたノートに書きとめました。
その旋律たちは、裕美さんからのメッセージのように
思えました。
旋律を反芻する私には、たおやかに裾野が広がる
富士山のうつくしさがことのほか心に沁みました。
きっと裕美さんが私を日立に招いてくださっているんだ・・・
と感じたことでした。

日立のご自宅の和室で、棺の中にいらっしゃる
裕美さんとお会いしました。
美しいお顔ですやすやと眠っておられるようでした。
あたたかな空気がお部屋に満ちていました。
八幡さんが、裕美さんは白雪姫のようだったと言われましたが、そのとおりだと思いました。

青い空、レース模様のように白い波が立つ、
どこまでも青い海、小鳥のさえずり、
すべてが、もっとも聖なるときを最大の美しさをもって
うたっているようでした。
その日は、ほんとうに、夢を見ているような特別な一日でした。

家に帰ってさっそく、ノートに書きとめた5つの旋律を
まとめて、「春の一日」というタイトルをつけました。
それぞれの曲は、
「1春のカノン II思い出 Ⅲ悲しみ Ⅳ呼び声 
 Ⅴフィナーレ・・・そしてはじまり」としました。
裕美さん、この曲を裕美さんにお捧げさせてくださいね。

さてその日から、早、ふた月が過ぎました。
裕美さんのことを思い出していると、
なんだか裕美さんがすぐそばにおられるような感覚になります。
裕美さーん、と呼ぶと、はーい、ここいますよー、
とどこからかお返事が聞こえてきそうです。
裕美さんは天にお引越しされ、自由に光の中で憩っておられる。
そんな裕美さんの息遣いがなんだか聞こえるような気がします。新しいお住まいで、たくさんのお人形を作り、おうたを歌い、
ライアーを奏でておられる姿が目に浮かびます。
裕美さんのまわりにはたくさんの子どもたち。
みんな目を輝かせてうれしそうにしています。
裕美さんの目もきらきら輝いています。
ピンクのほっべたには微笑みが浮かんでいます。
あたりには光があふれています。
いろんな色、ありとあらゆる色のとうめいな光です。
とろけるようにうっとりとなっている子もいます。

裕美さん、こちらでの毎日、ほんとうにおつかれさまでした。
そして、こちらでほんとうにたくさんの働きをして
くださったこと、こころからありがとうございました。

天ですてきな作品をいっぱい作ってくださいね。
そして、あたたかな響きをいっぱい奏でてくださいね。
こちらにいるわたしたちも、心の耳をすまして、
裕美さんの響き、
裕美さんの祈りを受け取ることができますように。

わたしたちの響きもどうか裕美さんのところに届きますように。竪琴の弦が天と地を繋いでくれますように。
響きが次元を超えて共鳴し、響き合いますように。
裕美さんの魂が天の憩いの中でさらに輝かれますよう、
お祈りいたします。(J.O.)

~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~